プロパティマネジメント関連用語集

あ行
アスベスト(石綿)

(Asbestos)
アスベストは、ギリシャ語で「不滅のもの」という意味を持つ。その名の通り耐久性に富み、腐らず、燃えず、柔らかいが引張り強度が高い材料でしかも廉価であることから、断熱材・耐火材・防音材として古くから利用されていた。近年、その粉塵のもたらす人体への悪影響が社会問題となっている。そのため、世界的に使用が制限され、我が国においても既に使用したものについて適切に処理することが義務づけられている。

インカムゲイン

金融資産を一定期間運用したときに発生する利子所得のこと。銀行預金や郵便貯金をすると利子が発生するが,これがインカムゲインに相当する。

インスペクション

(Inspection)
住宅の設計・施工に詳しい建築士などの専門家が、住宅の劣化や不具合の状況について調査を行い、欠陥の有無や補修すべき箇所、その時期などを客観的に検査することをいう。新築入居時やリフォーム実施時、既存(中古)住宅の売買時に行われている。

エンジニアリングレポート(ER)

(Engineering Report)
不動産に関する土地状況の調査(地質・地盤)、建物状況調査、環境調査を対象とする調査報告書で、建物劣化診断による経済的耐用年数の判定、維持・管理・保守費用の見積り、有害物質の使用や保管状況の把握、土壌環境の調査、耐震診断結果・PML値の判定等を行う。エンジニアリングレポートは、不動産のデューデリジェンスの中の一業務で、不動産証券化などにおける建物の適正評価手法として注目されている。

か行
貸し会議室

会議室を時間貸しするサービスのこと。余剰となった自社会議室を有料で近隣企業に利用させる手軽なものから、本格的な映像機器・音響機器を備える大規模会場まで、さまざまな形態がある。近年ではオペレーショナルアセットの一つとして注目されている。

鑑定評価書・鑑定評価報告書

鑑定評価書は、評価対象不動産の鑑定評価額とその決定の理由要旨等が記載されたもので、不動産鑑定業者が業務依頼者に発行する文書ある。鑑定評価報告書は、実際に鑑定評価業務を担当した不動産鑑定士(補)が不動産鑑定業者に提出する文書で、鑑定評価の作業で収集した資料等を含み鑑定評価書の実質的内容をなすものである。

既存不適格建築物

法律の制定・改正において、その施行または適用の際に既に完成または建築・修繕・模様替え工事中の建築物について、新法に適合しない部分に関してその適用を除外された建築物をいう。適合しない規定の適用を除外されるため当面適法扱いとなることから、違法建築物とは異なる。ただし、一定規模以上の増築・改築・大規模の修繕または大規模の模様替えをする等、建築確認申請を必要とする工事を行う場合、適用を除外されていた規定について計画的に是正する義務を負う。なお、違反建築物として建築されたものは適用を除外されない。

キャピタルゲイン

土地などの有形資産,株式や公社債などの金融資産の値上がりによって生じる差益のこと。
反対に値下がりによって生じる差損をキャピタルロス (資本損失) という。

検査済証

建築確認申請に基づき建築確認のなされた建築物等について、建築物等およびその敷地が建築基準関係規定に適合しているかどうかの建築主事等による完了検査の結果、適合していると認められるときに建築主によって交付される書類をいう。

建築基準法

建築物の敷地、構造、設備および用途に関する最低の基準を定め、国民の生命・健康および財産の保護を図り、公共の福祉の増進に資することを目的とする法律。

建築設備定期検査

建築設備の調査(換気設備の風量促成、排煙設備の作動確認、風量測定、非常照明装置の点灯確認、受水タンクの点検など)を行うもの。特定建築物に該当する建築物に、換気設備(自然換気設備を除く)、排煙設備(排煙器又は送風機を有するもの)、非常照明装置、給水設備及び排水設備などが設置されている場合、1年ごとに報告が必要。

建築面積

建築物の外壁または柱で囲まれた部分の水平投影面積をいう。なお、建築基準法ならびに政令等によって、その計測方法について詳細に定められている。

建ぺい率

建築基準法で定める、敷地面積に対する建築面積の割合。都市計画法ならびに建築基準法の規定によりその限度が定められている。建築物の敷地が制限の異なる地域・地区にわたる場合には加重平均で算定し、角地等では制限を緩和する規定もある。

個別空調

熱源を各フロアやエリアごとに分散して設置する空調方式。

コワーキングスペース

(CoworkingSpace)
シェアオフィスの一つであり、特に複数の事業者どうしの協働を目的としたスペースをいう。特徴として、個室化されていないオープンスペースであることが殆どで、中には座席が指定されていないフリーアドレス方式になっているケースもある。

コンストラクションマネジメント

(ConstructionManagement)
建築工事を進めるにあたって、発注者の立場にたつ代理人(第三者)に、業者選定、見積の徴求・査定・価格交渉、資材の調達、検査対応等の施工管理にいたるまで、工事・コスト・工程・品質を発注者の利益の視点から管理させる手法。略して「CM」という。不動産の証券化などが発展するなかで、社会的要請として、建築工事に対する透明性、公平性、競争性、情報の公開、株主への説明責任、コンプライアンス(法令遵守)への対応が求められ、従来からのゼネコンが一括受注する発注方式に対して、CM方式が脚光を浴びている。

コンバーション

(Conversion)
既存の建物を市場ニーズに合わせて用途変更することをいう。リフォームやリニューアルにより建物の本来機能の回復を図っても、十分な市場競争力を得られない場合にとる手段。我が国では、賃貸住宅の家賃がオフィス賃料を上回る地域での、オフィスビルから賃貸マンションへの用途転換が主流となっている。

コンプライアンス

(Compliance)
本来は「応諾、服従、追従」を意味することばであるが、主に不動産・金融業界では「法令遵守」の意味で多用される。法令・規則など各種ルール、倫理や社会規範などに従って行動することを指して用いる。コンプライアンスの徹底は時代・社会の要請であり、重大なリスクの事前回避、企業経営の健全性アップ、自らの判断と責任に基づいた企業活動の遂行が求められている。

さ行
サブリース

( Sublease )
建物全体あるいは一部を、サブリース業者が一括借り上げし、これをエンドテナントに転貸する事業手法をいう。昨今は一括借り上げ賃料とエンドテナントへの転貸料に逆ザヤ現象が見られ、賃料保証を前提としないサブリースが増えている。

シェアオフィス

一つの空間を複数の事業者で共用する形態のオフィスのこと。大抵の場合1名から5名程度での利用を想定した作りになっており、個室、半個室、オープンスペースなどさまざまな形式がある。レンタルオフィス、サービスオフィス、コワーキングスペース、サテライトオフィス、シェアードオフィスなどが含まれ、それらを総称してシェアオフィスという。

時価会計

( Current Value Accounting )
企業の保有する固定資産の会計処理にあたって、評価時点における市場価額に基づき不動産の価格を評価する時価主義による資産会計の計上基準をいう。この処理の利点は、企業内の資産価格を時価を表示することにより、収益と費用実体を表すことができる点であり、欠点としては、時価のとらえ方に恣意性が生じやすいことである。

主要構造部

( Main Structural Part )
建築基準法で規定される用語で、建物の構造上重要な部分となる壁・柱・床・はり・屋根・階段が該当する。建物の構造上重要でない間仕切り壁・間柱・附け柱・揚げ床、最下階の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋根階段等は除かれる。

昇降機等定期検査

エレベーター、エスカレーター、小荷物専用昇降機、遊戯施設等の調査を行うもの。かごが住戸内のみを昇降するものを除いて1年ごとに報告が必要。

信託受益権

財産(信託財産)の受益者がもつ権利の総称で、信託を受託する信託銀行等の受託者に対して、信託財産から収益や元本の交付を受けることを請求できる権利と、信託業務処理を監督・チェックする権利が含まれる。

セントラル空調

熱源を建物の1箇所に設置し、各部屋に冷水や温湯を送る空調方式。

外断熱工法

躯体の外側に断熱材を配置する断熱工法。なお、外断熱工法という予後は主に、マンション等のRC(鉄筋コンクリート)構造やメーソンリー構造など熱容量の大きい建物に用いられる。

た行
耐火建築物

建築基準法で規定される用語の一つ。主要構造部を耐火構造とした建築物で、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸を設けた建築物。

耐火構造

建築基準法で規定される用語の一つ。鉄筋コンクリート造、レンガ造等の構造で、主要構造部の部位別に政令で定める耐火性能を有するもの。

耐震構造

( Earthquakeproof Cnstruction )
地震力に耐えるように考慮して設計された構造。我が国の耐震構造は、数々の震災の経験に基づき改正を重ねており、現在の耐震構造は1981年に施行された「新耐震設計法」に基づくものもの。新耐震設計法以前の設計法を「旧耐震設計法」と呼ぶ。

ダウンタイム

賃貸物件における空室期間のこと。

長期修繕計画

一般的に10年から30年程度の期間を対象として、建築物の各箇所に関する鉄部等塗装工事・外壁塗装工事・屋上防水工事・給水管工事・排水管工事などの各種の大規模修繕をどの時期に、どの程度の費用で実施するかを予定するもの。

直接還元法(単年度収益還元法)

現在から将来にかけて永続的に不動産が収益を生み出すという前提で一定期間の純収益を算定して、これを還元利回りによって還元する方法。DCF法が、連続する複数の期間に生み出す純収益の現在価値に着目するのに対し、直接還元法は純収益が長期間継続するものと想定している。簡便で取引利回りとのチェックが容易であるなどの利点がある反面、将来の収益や元本価格の変動を反映できない難点がある。
収益価格=純収益/還元利回り

賃貸事例比較法

不動産の鑑定評価方式の比較方式のうち賃料を求める手法をいう。多くの賃貸事例を収集・選択し、これらの実際実質賃料について、事情補正、時点修正を行い、かつ地域要因、個別的要因を比較考量して賃料を求めるもの。

定期借地権

定期借地権は、1992年8月に施行された「借地借家法」により制度化されたもので、従来の借地権と異なり、当初定められた契約期間で借地関係が終了し、その後の更新はありません。
定期借地権には、
(1)期間を50年以上とし、期間満了に伴い原則として借り主は建物を取り壊して土地を返還する必要がある「一般定期借地権」
(2)契約後30年以上経過した時点で土地所有者が建物を買い取ることを、あらかじめ約束しておき、土地所有者が建物を買い取った時点で借地権が消滅する「建物譲渡特約付借地権」
(3)期間を10年以上50年未満とし、事業用(居住用には使えない)に建物を建てて利用する「事業用借地権」
※「事業用借地権」には、期間を10年以上30年未満とし、期間満了に伴い借り主は建物を取り壊して土地を返還する必要がある「更地返還強制型」と期間を30年以上50年未満とし、契約更新、建物築造による存続期間の延長、建物買取請求といった特約も可能な「任意契約型」がある。
の3種類4タイプがある。なお、事業用借地契約は公正証書によってなされなければならない。

定期借家権

2000年3月に施行された「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」(通称:定期借家法)によって導入された制度。借地借家法の一部を改正する規定が含まれるが、定期借地権のように権利として定められたものではなく、定期借家契約ができることを規定したにすぎない。
従来の借家契約は期限が来た時点で賃貸人側から契約の解除を申入れても、賃貸人側に「正当事由」がなければ賃貸借契約は「法定更新」された。しかも更新された後の賃貸借契約は期間の定めのないものとなってしまい、賃貸人にとって極めて不利な契約であった。これに対し定期借家契約は、契約期限の到来とともに借家契約が終了するため、立退料が不要になり、家賃増減請求権を排除した契約を結ぶことが可能となるなど、賃借人保護に偏った従来の制度の問題点が是正されている。
定期借家契約により、建物賃貸経営を長期安定的なものにするのみならず、契約形態の多様性や供給される賃貸物件のバリエーション増大など、賃貸人・賃借人双方にとって大きなメリットをもたらすものとして期待されています。
契約を結ぶ際には、賃貸人は賃借人に対して公正証書などの書面を公布して「更新がなく期間満了により終了する」ことを説明する義務がある。また、契約終了の1年前から6か月前までの期間に契約終了の通知をしなければならない。但し、賃貸人と賃借人が合意すれば再契約することも可能である。

出口戦略

( Exit Strategy )
不動産証券化の期間が終了した時点で、投資家や金融機関等に支払う元本の償還や借入金の返済に要する資金を確保するための手段・計画。
従来の日本の不動産投資スタイルは、投資対象不動産を超長期間保有し、キャピタルゲインを狙うことであったが、不動産の証券化が進んだ昨今は、インカムゲインの獲得をメインにキャッシュフローを最大限に高め、一定期間後に転売して利益を確定するスタイルに転換してきた。これに伴い、投資対象不動産の売却期間・売却方法などについて戦略的に検討することの重要性が高まることとなった。一般的には借り換え(リファイナンス)や不動産の売却で対応する。

テナントミックス

対象となる収益不動産における最適なテナント(業種業態)の組み合わせのこと。

テナントレップ

( Tenant Representative )
Tenant Representativeの略。テナントの代理人として、適切なオフィス戦略の提案や賃貸借契約などを行うコンサルティング事業。

デューデリジェンス

( Due Diligence )
不動産の売買において、投資価値を見極めるために購入者が、建築士、公認会計士、弁護士、不動産鑑定士等の外部専門家に依頼する詳細な調査。本来は、有価証券発行時に証券取引法に定める情報公開基準を満たしているか否かについて、弁護士などが詳細に調査確認する作業をいった。
調査内容は、土地や建物の状況や管理運営状況(物的調査)、土壌汚染等の状況(環境調査)、権利関係や賃貸借契約の状況(法的調査)、賃料等収入状況や不動産鑑定等(経済調査)がある。

投資信託

( Investment Trust Fund )
投資運用会社が証券会社や銀行を窓口として数多くの投資家から資金を集め運用する金融商品。その投資対象や運用手法によって、国債や地方債、社債、モーゲージなどの債権を中心に投資する債権型投資信託と、株式を中心に投資する株式型投資信託に分類される。

特殊建築物

学校(各種学校を含む)、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、舞踏場、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これらに類する用途の建築物をいい、建築基準法による各種制限を受ける。

特定目的会社

( TMK=Tokutei Mokuteki Kaisha )
2000年11月に施行された「資産の流動化に関する法律」(通称:資産流動化法、改正SPC法という場合もある。)に基づき、特定資産の流動化を行うことのみを目的として設立される特別法上の営利社団法人。設立にあたっては、特定資本(株式会社の資本金に相当するもの)を10万円以上、最低1名の取締役が必要となる。また、業務内容については投資家保護の観点から厳格な規定が設けられている。
特定目的会社は、オリジネーターから資産を取得し、その資産を裏付けに証券(ABS)を発行して資金を集める。この不動産流動化・証券化に際して媒体となる組織。税制上、一定の優遇措置が設けられている。

特定建築物定期調査

敷地内の通路、擁壁の状況、外壁の劣化の状況、屋上廻りの劣化の状況、防火区画や床、天井の状況、避難施設、非常用設備の状況などを調査するもの。用途・規模又は階により、1年または3年ごとに報告が必要。

は行
ヒートポンプ

熱媒体や半導体等を用いて低温部分から高温部分へ熱を移動させる技術。主に気体の圧縮・膨張と熱交換を組み合わせたものが多く、建築設備ではヒートポンプ式のエアコンや給湯器などがある。

不動産デリバティブ

デリバティブとは「派生商品」のことを言い、金融取引において相場変動からのリスクを回避するために開発された商品である。不動産においては、将来の不動産売買の価格を先に決定する「先物」、将来の不動産の売買に関する権利を取引する「オプション」、不動産の利回りと金利を交換し、実質的に不動産の所有と同様の効果が得られる「スワップ」などの商品がある。

不動産投資インデックス

不動産投資収益をインカムゲインとキャピタルゲインとに分け、インカム収益率とキャピタル収益率を合計して数値化したもの。投資家が不動産投資を行う際の指標(ベンチマーク)として利用される。不動産全体の資産特性、オフィスビルや住宅などの種類別特性、地域別特性などが明らかとなり、ポートフォリオ組成や投資パフォーマンス評価の基準として利用可能。

不動産投資顧問業

2000年9月の国土交通省が公布・施行した告示「不動産投資顧問業登録規定」に基づき任意の登録申請を行ったものについて、不動産投資顧問業としての人的構成、知識・経験、財政的基礎などを審査し、投資顧問業を公正・的確に営む能力を有する者として登録されたものが行う業務。投資家の保護および不動産投資顧問業の健全な育成を目的としている。不動産投資についての助言のみを行う「一般不動産投資顧問業」と不動産取引の投資一任業務及び助言業務を行う「総合不動産投資顧問業」の2種類がある。

不動産特定共同事業

不動産特定共同事業とは、不動産の小口化・不動産共同投資の手法の一形態である。不動産の証券化と目的は似ているが、性質および法的な位置付けは違い、事業参加者(投資家)から不動産の共有持分や資金を受けた事業者が、その資産を基に不動産取引(不動産の賃貸、販売等)を行い、それにより得られた収益を投資家に分配する事業である。事業者の倒産などのトラブルが発生したことを背景に、1994年に不動産特定共同事業法が制定され、不動産特定共同事業による不動産の小口化商品の設立・運営に規制が加えられた。以降、2013年の改正では特別目的会社(SPC)を活用した「特例事業」の制度を導入。2017年の改正では「小規模不動産特定共同事業」が新たに創設され、クラウドファンディングに対応した環境を整備した。

不燃材料

( Non-combustible Material )
材料自体が燃焼せず、かつ防火上有害な変形・溶融などがなく、室内面に用いる場合は有害な煙・ガスを発生しないものとして国土交通大臣が指定する材料。コンクリート、レンガ、瓦、鉄鋼、アルミニウム、ガラス、モルタル、しっくいは不燃材料である。

フリーレント

賃料を支払わずに一定期間賃借する賃貸借の形態。一般的には、入居時から数カ月の期間賃料を無料にするサービスで、額面賃料を維持したまま実質賃料を値引きする手法として広く使われている。

フロン排出抑制法

正式名称は「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」。業務用のエアコン・冷凍冷蔵機器の管理者には機器およびフロン類の適切な管理が義務付けられた。また、一定の量フロンが漏えいした場合には国への報告が必要となる。

防火構造

( Fire Protection Construction )
建築基準法上耐火構造に次ぐ防火上有効として定められた構造。建築物の周囲において発生する通常の火災による延焼を抑制するために、外壁または軒裏に必要とされる防火性能を有する構造のこと。政令で定める技術的基準に適合する構造で、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものまたは国土交通大臣の認定を受けたものをいう。

防火設備定期検査

防火扉、防火シャッター、耐火クロススクリーン、ドレンチャーなどの状況を調査するもの。特定建築物に該当する建築物(病院、高齢者、障害者等の就寝の用に供する用途については200㎡を超える場合)に常時閉鎖又は作動をできる防火設備が設置されている場合、1年ごとに報告が必要。

防火地域

( Fire Zone )
市街地で人や物が集中する中心商業地、あるいは災害時に救済活動の中心として機能すべき官公庁街などに、都市計画法によって指定される地域。この地域内では、住宅等の小規模な建築物以外は鉄筋コンクリート造その他の耐火建築物としなければならない。

ポリ塩化ビフェニル

( PCB )
電気機器内の絶縁油、潤滑油や塗料などに利用されていた物質で、化学的に安定しており絶縁性・不燃性等の特性を持つことから昭和40年代前半まで広く利用されていた。昭和41年スウェーデンのジェンセン氏らの調査により、生体に蓄積され毒性を示すことが社会問題となり、現在、国内では製造・輸入・使用が禁止されている。しかし、製造済みのPCBについては、処理が進んでいないために環境汚染が懸念されている。

保留床

市街地再開発事業等で、再開発されたビルの敷地や床に関する権利のうち、権利者が取得する権利のある床(権利床)以外の部分をいう。ビルの高層化などで地権者の保有する権利以上の床が生まれた場合に保留床が生まれることになる。この保留床を処分することによって事業費を賄う、あるいは圧縮するのが通例である。

ま行
マスター・リース

( Master Lease )
不動産を賃借する権利の譲渡、もしくは、転借を行う者が不動産の所有者から一括してその不動産を借り上げる賃貸借契約のこと。不動産流動化の世界では、オリジネーターが所有権を信託譲渡した信託銀行より自ら賃借人として賃借(リース)し、これをテナントに対して転貸借する。この場合の信託銀行とオリジネーターとの間のリース契約がマスター・リースとなる。

や行
容積率

( Rate of Building Volume to Lot )
敷地面積に対する延床面積の割合。容積率は用途地域ごとに指定されており、指定容積率を超える建物を建てることはできない。前面道路の幅員が12m未満の場合、幅員に応じた容積率の制限がある。

用途変更

建物新築時の用途を、別用途に変更するための手続き。変更する用途によっては確認申請が必要な場合もある。

ら行
ライフサイクルコスト

( LCC )
建物が生涯必要とするコスト(設計費・建設費などのイニシャルコスト、および運営管理費から建物解体費を含むランニングコストからなる)の合計をライフサイクルコスト(LCC)という。一般的にイニシャルコストがLCCに占める割合は20〜30%程度、ランニングコストは70〜80%程度といわれており、建物の設計にあたって、LCCの概念を取り入れることが一般化してきている。

リーシング

収益不動産の賃貸支援業務のこと。賃貸借取引の仲介だけでなく、店舗・事務所の立地動向調査(マーケティング)、テナントの構成や賃貸条件の設計・調整など、不動産の収益性を確保するためのサービス業務も含まれる。

リース・バック

保有する財産(不動産や設備機器など)を売却し、売却後も同財産を売却先より賃借して継続使用することをいう。近年、企業が、収益性の改善を目的に、自社にて使用中の所有ビルを売却(オフバランス)し、賃貸借契約により継続して使用する手法として多く用いられている。

レントロール

収益不動産の賃貸借条件を一覧表にしたもの。賃貸区画別に入居者情報・賃料・共益費・敷金・契約日・契約期間等が記されている。

英数
A工事

ビル本体の工事で、オーナーの費用負担でオーナーが施工する工事。

BELS

建築物省エネ法に基づく省エネ性能表示制度で使用される第三者認定ラベルのこと。建築物の省エネ性性能を5段階に分けて評価するもの。

B工事

テナントの費用負担により、オーナー又は賃貸人側の指定する業者にて施工する工事。

CAPEX

( Capital Expenditure )
単に不動産を維持・保全を目的の修繕とは異なり、資産価値の向上や耐久性の増加を目的に行う資本的支出に分類される設備投資をいう。このためCAPEXは資産計上され、減価償却の対象となる。なお、広義で、大規模修繕費用や長期修繕計画における費用を指す場合もあり、長期修繕計画そのものを指す場合もある。

CASBEE

建築物の環境性能を評価・格付けするもの。省エネルギーや環境負荷の少ない資機材の使用といった環境配慮はもとより、室内の快適性や景観への配慮なども含めた建物の品質を5段階に分けて評価する。

CASBEE - 不動産

CASBEEにおける建物の環境評価の結果を、不動産評価の際に活用して頂くことを目的として開発されたもの。
不動産の開発や取引においてCASBEEを活用できるように不動産評価に関連が強い項目に絞って評価基準が策定されている。CASBEE-不動産の評価対象は、竣工後1年以上経過した既存建築物であり(評価には1年以上の運用実績データが必要)、建物用途は、オフィス、店舗、物流施設(それらの複合用途を含む)に限定されている。

CASCASBEE - ウェルネスオフィス

建物利用者の健康性、快適性の維持・増進を支援する建物の仕様、性能、取組みを評価するツールのこと。
建物内で執務するワーカーの健康性、快適性に直接的に影響を与える要素だけでなく、知的生産性の向上に資する要因や、安全・安心に関する性能についても評価をする。

CFT構造

( Concrete Filled Steel Structure )
建物の構造形式の一つで、断面が角形または円形の鋼管にコンクリートを充填して柱とし、鉄骨の梁を組み合わせた構造をいう。工期の短縮と施工性に優れ、小さな柱断面でより高い階高、より長い柱間隔が可能となることから、有効面積を広げ、より大きな無柱空間の確保と空間利用の自由度を高めるため、高層建築や大規模施設に採用されることが多くなっている。

CRE

( Corporate Real Estate )
企業が事業のために利用(貸借を含む)している不動産をいい、企業不動産とも呼ばれる。減損会計の導入をはじめとした会計制度の変更や、昨今の不動産市況の低迷により、不動産がリスク資産として認識されたことなどに伴い、企業は、企業価値の最大化を図るべく、適正かつ効率的な企業不動産の有効活用を戦略的に行うことが重要となっており、この企業の取組みを「CRE戦略」という。

CSR

( Corporate Social Responsibility )
企業の社会的責任をいう。企業は、自らの企業活動において、法令の遵守や雇用の創出などの他、環境への配慮やボランティア活動への支援といった社会貢献などに対しても積極的に取組むべきとの考えから、近年、企業評価おいてCSRの視点が取入れられるようになっている。

C工事

テナント負担によりテナントの指定する業者にて施工する工事。

J-REIT

不動産投資信託をいい、米国のREITを参考に創設されたためJ-REIT(日本版不動産投資信託)と呼ばれる。2000年11月の投資信託法改正によってREITの設立が可能となったことを受け、2001年9月に2銘柄が上場した。J-REITの仕組みは、投資法人が投資家から集めた資金で賃貸不動産を購入し、賃料収入や不動産の売却益から得られる収益を投資家に配当するもので、投資家は、証券会社を通じて市場に上場している投資法人の証券を購入することにより投資を行うことになる。2021年12月現在、61銘柄が上場している。

LEED

米国グリーンビル協会が運用する建物と敷地利用についての環境性能評価・認証システム。省エネと環境に配慮した建物・敷地利用について4段階に分けて評価・認証する。

REIT

( Real Estate Investment Trust )
1960年にアメリカで生まれた不動産投資商品で不動産投資信託と訳される。多くの投資家から資金を集めて、そのお金を一つにまとめて不動産へ投資することによって運用し、その結果得られた収益を投資家に分配するという仕組み。ショッピングセンター、レジデンス、オフィス、ヘルスケア、物流施設など、投資対象不動産は多岐にわたっており、米国では刑務所を対象としたリートも存在している。

SDGs

2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っている。

SPC

( Special Purpose Company )
資産の流動化を目的として設立される法人で、特別目的会社と訳される。資産の種類や資金調達の手法などによって、株式会社や合同会社などの他、SPC法(資産の流動化に関する法律)に基く特定目的会社(TMK)などの形態が選択される。これらのSPC、TMKの他、投資法人や組合など資産の流動化を目的に組成された媒体を総称してSPV(SpecialPurposeVehicle)といわれる。